米国に次ぐ規模を誇るイスラエルのCybertechには世界各地から多くの人々が集まり、数々の重要なメッセージが発信された。
2020年1月末に日本を含む50か国以上の代表団が「Cybertech Global 2020」を訪れ、急速な進化を続けるサイバー業界の最先端のアイデアや技術に触れました。
2020年の主なトレンド
テルアビブの会場では世界をリードするサイバー専門家たちによる講演が行われ、次のようなトピックが繰り返し取り上げられました。
セキュリティツールへのAI導入
犯罪者や政治的意図を持った人物によるAIを悪用した迅速で広範囲な攻撃が広がっています。これに対抗するための強力な防御対策を打ち立てることの重要性が高まっています。
イスラエルのサイバー関連企業の多くが増大し続けるこのような脅威に対抗するために、AIを駆使した高度なツールを開発しています。
サプライチェーンのセキュリティ
サイバー攻撃が現代社会にもたらす潜在的被害に単独で挑むのは無謀です。IBM Security Europeの副社長Anthony Aurigemma氏は「我々の業界はオープンスタンダードベースのプラットフォームへの投資を続け、あらゆる規模のセキュリティベンダーとパートナーシップを築いていかなければならない」と述べています。
イスラエルでは組織の部署間に存在するギャップを埋めるため「センター・オブ・エクセレンス (CoE)」の実践に重点が置かれています。
クラウド保護の強化
パブリック・クラウドのセキュリティを確保するためには大規模な投資が必要です。イスラエルでは多くの企業が、データの安全性を高めるためにクラウドネイティブの管理を導入していますが、そのような企業は「ハイブリッド・マルチクラウド」、つまり、プライベート・クラウドとパブリック・クラウドを併用する際の課題についても認識しており、これら2つの領域をスムーズで安全なインターフェイスでつなぐことに重点的に取り組んでいます。
ゼロトラスト基準の台頭
最近のサイバー界隈でもてはやされている2つの安全対策、「ゼロトラスト」と「IDベースの検証」は、データアクセスの安全水準を高め、パスワード廃止に至る道を切り開いています。
多くのイスラエル企業がサイバーセキュリティ用のツールキットの1つとしてゼロトラストのアイデアを採用しています。
5Gの課題への準備
現代社会ではあらゆる場面で携帯電話が使用されており、5Gネットワークの登場によって「総デジタル化」への流れは加速します。サイバーセキュリティ分野の主要な課題は、情報を正しく共有して、共通の基準を設定することです。イスラエルのサイバー企業は間近に迫ったこの問題の解決策をすでに模索し始めています。
危険国家による攻撃を防御
一部の国家(イラン、中国、ロシア、北朝鮮、トルコ)がハッカー部隊を使って「敵」国家に攻撃していることは広く知られています。イスラエル電力公社(IEC)はその主要ターゲットであり、2019年には平均11,000件/秒のサイバー攻撃を疑われるアクセスがありました。
国家ぐるみのハッキングからの保護は現代サイバー社会では必須です。国家基盤が脆弱なイスラエルは正にこれを求められる立場であり、イスラエル国家サイバー総局(Israel National Cyber Directorate)が主導して様々な重要な取り組みを行っています。
IECは社内に特殊サイバーユニットを設置し、それを通じて独自のスキルを向上させることで、エネルギー産業に特化した新たなサイバーセキュリティ製品を生み出しています。
このソリューションは他の保護ツールに追加で提供されています。IECは現在その専門知識を活かして日本の大手エネルギー企業をサポートしており、オリンピック開催に向けた重要インフラの安全対策に一役買っています。
KEYZUNAが重点的に取り組んでいる分野の1つがサイバーセキュリティです。この取り組みから得た資産が、イスラエルを訪問するニーズに最適なイスラエルのイノベーターを見極めるために活用されています。
